BLOG

ブログ

TOPIC 2024.9.27

2024年09月27日 繊研新聞に掲載されました 国内縫製工場アイエスジェイエンタープライズ

繊研新聞

【パーソン】アイエスジェイエンタープライズ社長 井川貴裕さん

夢あるブランドを応援したい

岐阜市の老舗縫製工場、アイエスジェイエンタープライズ。創業から50年以上の、確かな品質と丁寧な物作りに定評がある人気の工場だ。工場を切り盛りする井川貴裕社長は2代目に当たり、同時に技能実習生の受け入れ窓口となる一般監理団体、MSI協同組合の代表理事も務める。多品種小ロットが増え、国内工場を取り巻く環境は決して楽なものではない。これまでどういう思いで工場経営を続けてきたのか。そして今後、どう舵(かじ)取りしていくのか。井川社長に聞いた。

 
井川貴裕さん

リーマンショックで体質改善

――2代目に当たる。 当社の前身である井川縫製は、父・井川勝美が1969年に創業しました。私は元々は飲食店を経営するのが夢でした。縫製を学んでいたわけでもなく、飲食店に勤め、厨房(ちゅうぼう)に立っていました。ただ、腰を痛め、入院したのをきっかけに、続けることが難しくなりました。 そんな20歳ごろの時に、父から「ちょっと会社を手伝わないか」と言われました。縫製は経験がなかったのですが、家業なので子供の頃から服を見てきたし、家庭内で物作りの手伝いをしていたこともあります。なじみはあったんですね。そこで父の会社に入社することにしました。 入ってからは、新規営業したり、外注先の工場が10~20軒あったので訪問して生産管理をしたり。ただ、正直、初めの3年は何もできていなかったと思います。それでも、「石の上にも三年」とはよく言ったもので、4、5年目になると、見えないものが見えてきて、仕事の全体像が分かるようになってきました。 東京や大阪、神戸のブランドとの取引が多く、自分たちの作ったスカートやワンピース、ジャケット、コートなどが女性ファッション誌『キャンキャン』『ジェイジェイ』といった雑誌に掲載されていました。やっぱり「おっ」と思い、うれしくなりましたね。ほかにも当社が作った服を著名なアイドルグループや、朝の情報番組に出るアナウンサーが着用してくれたりしてくれています。 入って8年ぐらい経った頃には、決算を組んだり、振り込みを管理したりと、実質経営者の立場になっていました。縫製についても、私は縫うことはしませんが、構造などについては理解できているので、口頭で伝えることもできるようになりました。若いが故に、軽んじられたり、時には馬鹿にされることもありました。ですが、逆に若いうちにたくさんの経験をさせてもらったのはすごく良かった。 非常に勉強になりました。そこからしばらくして、09年の36歳の時に、代表取締役に就任しました。 ――就任してからの舵取りは。 就任直前の08年、リーマンショックが起きました。正直それまでは業績は堅調でしたが、それで環境は一変しました。今まで売れていた取引先のブランドが売れなくなり、在庫過多になってしまいました。それにより新規の発注抑制が増え、売り上げは半分くらいになってしまいました。 当時は特定の1社で売り上げの9割をたたいていたので、何かあったときの影響が大きすぎたのです。もっと複数の企業と取引をしていれば、ある会社が厳しくても残りの取引先で何とかしのげ、ここまで売り上げは落ちなかったでしょう。これも今思えば良い教訓です。 それ以降は、売り上げを追わずにスリム化しながらも、新しい取引先の開拓を強めたり、生産効率向上に努めたりと体質を改善していきました。そこから2年かけて黒字体質にもっていくことが出来ました。
技能実習生中心に日本人縫製工員も働く。布帛物全般を扱う
 

ホワイト工場が集まる団体

――技能実習生の採用を始めた。 ずっと日本人縫製工員のみのオール・メイド・イン・ジャパンでしたが、14年12月に、初めて技能実習生を受け入れました。 その時は賃金不払いで送検された会社があって、そこでの技能実習継続が困難になった4人を引き受けた形です。同じ頃に新規の技能実習生も3人を受け入れ、7人からスタートしました。ちょうど日本人の縫製工員の採用が難しくなってきていたのを感じていた頃でもありました。 15年に、今度は廃業する縫製工場から技能実習生を転籍という形で5人採用するなど、実習生が増えていきました。 当時は監理団体に所属していたのですが、世間でも実習生への賃金不払い事件がしばしば報道されるようになり、私がいた監理団体でもいろいろありました。 不払いなど違法行為で服を作るという正義のない行動に対して、「イエス」と言いたくなかった。そこについては、仲間の若い縫製工場経営者も、「そうだよね」と賛同してくれました。 その後、MSI協同組合の代表理事になり、自分たちで監理団体を運営するようになりました。今は東海地区の縫製業を中心に30社弱が加盟していますが、法令を順守するホワイト企業しか入れません。 正しいことを正しいと言ってくれる人が集まってくれたのは良かったし、ここまで関係省庁や外国人技能実習機構などに大きな指摘を受けることなく運営が出来ています。今は常勤職員が6人ほどいます。みんな監理や監査、訪問などを担っていて、丁寧な仕事をしてくれます。 技能実習生の受け入れ窓口や実習実施企業の監督などにとどまらず、経営改善にまで踏み込める団体を目指しています。事業の歴史は浅いかもしれませんが、「襤褸(ぼろ)は着てても心は錦」です。 ――今後工場の目指す姿は。 まずは人材です。そこそこのブラウスを1日10着縫うのではなく、きれいなブラウスを20着縫える人材。そういった技術者の定着がカギになってきます。 そこでいうと、今年繊維分野が特定技能1号の対象となりました。ずっと切望していましたが、ようやく道筋がついた形です。技能実習生として5年間日本で働いて、母国に帰った人材がまた、日本で働くことが出来る。優秀な人材が多く、生産力が高くなります。ほかにも人材育成で出来ることには努力を惜しむ気はありません。 もう一つ大切なのは営業活動です。人材がいても仕事がないと工場は回りません。時代は移り変わります。常に間口を広げながら、新たな取引先を探します。ただ、利益計算だけにとらわれて、安価な加工賃でやらせようとするところではなく、「うちはこのブランドを世界に羽ばたかせたい」。そういった夢を持っているブランド、生産者を守ってくれるようなブランドとビジネスをしたい。そんなブランドがあれば全力で応援していこうと思います。 いかわ・たかひろ 飲食店勤務などを経て、93年に井川縫製入社。営業を経て、09年に代表取締役就任。10年にアイエスジェイエンタープライズに社名を変更した。アイエスジェイは生活の根幹である「衣・食・住」の頭文字をアルファベットに置き換えたもの。51歳。

《記者メモ》

 繊維分野がまだ特定技能の対象に入っていなかった21年冬。工場取材で井川社長を訪ねた際、繊維を特定技能に追加するため活動していることを教えてくれた。政府や関係団体に声をかけていきたいと語り、本紙で記事にもさせてもらった。あれから2年余りが経過した今年3月29日、政府は特定技能の対象分野拡大を閣議決定した。

 「意志あるところに道は開ける」。米国第16代大統領エイブラハム・リンカーンの言葉だ。どんなに困難な道であっても、やり遂げる意志があれば最後には道は開けるという意味が込められている。井川社長の座右の銘でもある。

 「どうしてもしたいことがある。やり遂げないといけない。産業のためにそれを勝ち取らないといけない」。この思いが国を動かしたように思えてならない。

(森田雄也)

OTHERSその他の記事

news
NEW 2026.10.20

服だけじゃない。アパレルからライフスタイル雑貨、コンサート・イベントグッズまで。繊維製品全般の国内縫製・大量生産に対応

― 大企業案件・大型イベント・博覧会・ブランド製品から継続生産まで。1969年創業、岐阜の国内縫製工場が幅広いものづくりをサポート ― 「国内で大量生産できる縫製工場を探している」 「コンサートやイベント…

続きをみる
news
NEW 2026.10.17

海外縫製と国内縫製、本当の違いとは?価格だけでは測れない日本製の価値

― 加工賃だけでは見えない、品質・納期・柔軟性・そしてMade in Japanの可能性 ― アパレル製品を生産する際、多くの企業が直面するのが「海外でつくるべきか、それとも日本国内でつくるべきか」という選択です…

続きをみる
news
NEW 2026.10.16

日本の縫製工場が消えていく時代。それでも国内生産を続ける理由

日本の縫製工場が消えていく時代。それでも国内生産を続ける理由 ― 創業57年。岐阜から守り続ける、日本のものづくりと職人の技術 ― かつて日本には、全国各地に数多くの縫製工場が存在していました。 …

続きをみる
news
NEW 2026.10.15

なぜ今、世界のブランドが『日本製』を求めるのか? 〜国内縫製の価値と、岐阜から世界へ届けるものづくり〜

― 国内縫製の価値と、岐阜から世界へ届けるものづくり ― 日本国内で流通する衣料品のうち、「日本製」は今やごくわずかな存在となっています。 海外生産への移行が長年にわたって進み、国内の縫製工場は減少を続…

続きをみる
news
TOPIC 2026.6.29

衣類の国内生産自給率はついに1.1%へ。私たちが「プレミアムな日本製」を作り続ける

2026年6月29日付の繊研新聞にて、日本の縫製業界が直視すべき極めて重要なデータが報じられました。 輸入浸透率98.9%、過去最少を更新した国内生産 記事「25年の衣類国内供給量 3年ぶり増加も国産は11%減」…

続きをみる
news
TOPIC 2026.6.9

【お知らせ】J∞QUALITY(Jクオリティ)生産工程企業承認の更新登録が完了しました

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 岐阜県岐阜市を拠点とする「日本製(MADE IN JAPAN)」の縫製工場、株式会社アイエスジェイエンタープライズです 。 この度、当社は日本の繊維・アパレル産…

続きをみる
news
TOPIC 2026.4.22

【メディア掲載】アパレル工業新聞に掲載|ASM OSAKA 2026「メイド・イン・ジャパンを守る」MSI協同組合の挑戦

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 岐阜の縫製工場、株式会社アイエスジェイエンタープライズです。 この度、「アパレル工業新聞」のASM OSAKA 2026レビュー企画において、当社代表の井川が代表理…

続きをみる
news
TOPIC 2026.4.14

国内縫製工場でファッションからライフスタイル雑貨まで対応|株式会社アイエスジェイエンタープライズ

ファッションからライフスタイル雑貨まで。国内縫製という選択。 製品づくりにおいて、品質、対応力、相談のしやすさは、非常に重要な要素です。特にブランド様、商社様、OEMご担当者様にとって、どの縫製工場に依…

続きをみる
news
TOPIC 2026.3.27

【取り組み】次世代アパレル製造のスタンダードへ。DPP・人権デューデリジェンスに完全対応する当社の縫製体制

欧州(EU)の「環境配慮型設計規則(ESPR)」の採択などを背景に、衣類・アパレル・繊維業界における「サステナビリティ」とサプライチェーンの「透明性」への要求は、かつてないほど高まっています。 これからの時…

続きをみる
news
TOPIC 2026.3.12

【メディア掲載】繊研新聞「動き出す縫製M&A」特集にて、当社のコメントが掲載されました

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 岐阜県岐阜市の縫製工場、株式会社アイエスジェイエンタープライズです。 2026年3月12日付の**繊研新聞(260312号)にて、国内縫製業界の変革を追った特集記事…

続きをみる
news
TOPIC 2026.3.11

国内縫製の縫製工場|日本製(MADE IN JAPAN)ファッション・雑貨の生産なら株式会社アイエスジェイエンタープライズ

縫製工場をお探しですか?「国内縫製」という選択。   海外生産が主流となった現在でも、**日本製(MADE IN JAPAN)**の縫製品質は、多くのブランド様・企業様から高く評価されています。 株式会社アイ…

続きをみる
news
TOPIC 2026.3.8

【展示会レポート】第55回 ASM OSAKA 2026 閉幕|MSI協同組合の共同プロジェクトとして「岐阜の縫製技術」を発信

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 岐阜県岐阜市を拠点に、高品質な国内生産にこだわる縫製工場、株式会社アイエスジェイエンタープライズです。 2026年3月6日(金)・7(土)の2日間、インテックス大…

続きをみる
news
TOPIC 2026.2.17

東京・大阪のブランド様へ|岐阜の縫製工場が関東・関西の「スピード感」に対応できる理由と豊富な実績

「国内の縫製工場を探しているが、地方の工場だとやり取りや物流に時間がかかるのでは?」 東京(関東圏)や大阪(関西圏)のデザイナー様、生産管理担当者様から、このようなご相談をいただくことが多くあります。…

続きをみる
news
TOPIC 2026.2.16

縫製工場の小ロット対応|失敗しないための3つのポイント:サンプルから量産まで

近年、D2Cブランドの台頭や「メイド・イン・ジャパン」への回帰により、「小ロットで高品質な縫製」を求める企業様やデザイナー様が増えています。しかし、小ロットゆえの難しさや、依頼時のコミュニケーション不…

続きをみる
news
TOPIC 2026.2.9

Japan Qualityの真髄。岐阜の縫製工場(sewing factory)が証明する、品質・倫理・技能の三位一体。国内縫製工場アイエスジェイエンタープライズ

世界が再び「日本の縫製工場」を求める理由 2026年、アパレル業界のサプライチェーンは大きな転換点を迎えています。カントリーリスクや不透明な国際情勢を受け、多くのブランドが「どこで造るか」という本質的な…

続きをみる
news
TOPIC 2026.1.31

縫製技術の透明性のある価格体系について 国内縫製工場アイエスジェイエンタープライズ

2026年、縫製工賃の透明性のある価格体系について アイエスジェイエンタープライズが提唱する「技術の価値」の再定義 1分間の価値を問い直す アパレル製造の現場において、工賃の算出根拠は長らく不透明な状態が…

続きをみる
news
TOPIC 2026.1.24

【2026年最新】アパレル経営の地政学リスクと国内縫製の重要性|ブランドの未来を託すべき理由 garment factory

コスト優先時代の終焉と「経済安保」へのシフト かつて「世界の工場」を求めて海を渡ったアパレル製造は、今、歴史的な転換点を迎えています。 2026年現在、不安定な国際情勢や物流や円安進行の不確実性が…

続きをみる
news
TOPIC 2026.1.14

【ISJ Enterprise】縫製生産・ご相談フォーム公開のお知らせ(Google Form)Announcement: Sewing Production & Inquiry Form Now Available. garment factory

平素より、株式会社アイエスジェイエンタープライズのホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。 このたび当社では、縫製生産に関するご相談や加工賃見積のご依頼を、よりスムーズに進め…

続きをみる
news
TOPIC 2026.1.10

世界が憧れる「Made in Japan」を、御社のブランドへ。Bring the World’s Most Admired “Made in Japan” to Your Brand. garment factory

世界が憧れる「Made in Japan」を、御社のブランドへ。garment factory ——東洋の美意識が息づく国、日本で仕立てるラグジュアリー 世界のラグジュアリーブランド様にとって、日本で洋…

続きをみる
news
TOPIC 2026.1.10

サンプル〜量産までの流れ:初回お問い合わせでご用意いただきたい資料 From Sampling to Bulk Production: What to Prepare for Your First Inquiry

サンプル〜量産までの流れ:初回お問い合わせでご用意いただきたい資料 岐阜の日本製縫製工場 株式会社アイエスジェイエンタープライズです。ラグジュアリーブランド様のものづくりでは、…

続きをみる

CONTACTお問い合わせ

縫製をご依頼されたい法人様へ
まずはお気軽にお問い合わせください。