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2023.1.7
繊研新聞より 田上博道氏 縫製工場アイエスジェイエンタープライズ
繊研新聞に、気になる記事があったので転載させて頂きます。
《インタビュー》経済産業省製造産業局生活製品課長 田上博道氏 産地支援、技術開発軸の政策実行へ
繊研新聞社 2023年01月01日更新
経済産業省が新たな繊維産業政策に乗り出した。今後の繊維産業の方向性と政策を示した「繊維ビジョン」を22年5月に15年ぶりに策定、ビジョンに沿った政策を23年に本格的に実行する。繊維・アパレル業界を所管する製造産業局生活製品課の田上博道課長に今後の重点方針などを聞いた。
説明とPR強化
――22年の繊維産業を振り返ると。
新型コロナと共生して、社会経済活動も少しずつ正常化し、繊維産業にも回復の動きが見られました。一方で、原油や原材料の高騰や円安で製造コストが上昇し、大きな影響を受けているという声を多くの事業者から聞いています。経産省では今年度の第2次補正予算などで、電力・ガス料金の急激な値上げに対する家計・企業の負担軽減や、省エネルギー設備導入に対する補助金、中小企業に対する資金繰り支援や事業再構築補助金、生産性向上に向けた「ものづくり補助金」やIT導入補助金などのメニューを用意しており、繊維産業関連企業にも積極的に活用していただきたいと考えています。そのための事業の説明とPRを強化します。22年12月から、今年度補正予算で繊維産業関連企業に活用してほしい事業に関するオンライン説明会を開始しました。
産業の方向性示す
――22年5月に「繊維ビジョン」を策定した。
ビジョンでは繊維産業が転換点にある中で、方向性を示しました。新市場開拓のための分野を「戦略分野」、サステイナビリティー(持続可能性)やデジタル化などのビジネスの前提となる分野を「横断分野」と位置付け、政策を進めています。
まず、繊維産地を有する地方公共団体間の連携を図るため、「繊維産地ネットワーク協議会」を設置しました。33の地方公共団体が参画し、22年7月から12月までに4回の会議を開きました。繊維産地を国と自治体が協力して支援する方向性について議論しています。
例えば、地方創生臨時交付金で、エネルギー高騰に対する支援に活用できる事例を共有し、事業者にフィードバックしました。その後、交付金を活用した繊維産業向けの支援メニューが創設した自治体もあります。産地で事業者が声を上げたことが創設につながったと考えています。
デジタル化については、事業再構築補助金やIT導入補助金などのほか、今年度当初予算で措置された「地域デジタルイノベーション促進事業」の活用について議論しました。地域デジタル事業では兵庫県の播州産地企業がデジタル企業と協業して、播州織の生地情報のウェブデータベースを構築するとともに、縫製職人の技術もデジタル化して縫製加工工程を自動化する事業が採択されました。産地単位でDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む芽が出つつあり、協議会で共有しました。
――ビジョンに沿って「ファッション・ビジネス・フォーラム」も開催する。
23年1月に開催する予定です。優れた企業を「次代を担う繊維産業企業100選」として表彰するとともに、「繊維産地サミット」を実施します。サミットでは繊維産地ネットワーク協議会での議論を踏まえ、サステイナビリティーや取引適正化、人材育成などに産地がしっかり取り組むことを軸にした「繊維産地サミット宣言」を出す予定です。
持続可能な産業へ
――サステイナビリティーを軸にした繊維の技術開発支援も強化する。
繊維ビジョンと同時に策定した「繊維技術ロードマップ」を踏まえた施策を実施していきます。すでに、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の先導研究として、福井大学などで、水を使わずに超臨界二酸化炭素を利用する「無水型染色加工技術」の開発を開始しました。今年度補正予算では、新設した「資源自立に向けた資源循環システム強靭化実証事業」の中で、繊維to繊維リサイクルの技術開発支援に関する予算も確保しました。今年度補正予算では、バイオ由来製品の開発・生産を支援する基金「バイオものづくり革命推進事業」も新設しました。繊維も対象に含まれるので、関連企業に活用を呼びかけています。
資源循環は23年の繊維産業政策の重点テーマの一つです。「繊維製品の資源循環システム検討会」を立ち上げ、繊維の回収、分別・再生、製造、販売の各段階における技術と制度の課題などを整理し、具体的な政策につなげていきます。23年5~6月に報告書を出す予定です。
――人権対策や取引適正化も大きな課題だ。
人権に関しては、22年7月に日本繊維産業連盟(繊産連)がILO(国際労働機関)の協力を得て策定した繊維産業の行動ガイドラインに沿ったサプライチェーン全体での法令順守などを促していきます。残念ながら、業界では外国人技能実習生に対する法令違反が多いのが実情です。縫製業者などから丁寧に話を聞いて、対策を検討していきます。
取引適正化では、繊産連などが22年8月に改訂した自主行動計画の中身をしっかり周知していきたい。取引適正化に関して、アパレル企業と縫製業者の間で認識の差があり、いまだに契約が文書で交わされていないという事例も聞きます。アパレル企業には縫製業者としっかり対話をしてほしい。経産省としても人権問題と同様、縫製事業者から話を聞いて問題点と課題を整理し、必要な対策を打っていきます。
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